1.不登校の現状

 文部科学省では、不登校を次のように定義しています。
『年度間に連続又は断続して30日以上欠席した児童生徒』のうち『何らかの心理的,情緒的,身体的,あるいは社会的要因・背景により,児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある者 (ただし,「病気」や「経済的理由」による者を除く。)。』
(文部科学省 「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査-用語の解説」 より)
 この定義に従えば、統計上不登校としてカウントされるのは年間30日以上欠席していることが条件となります。また、病気や経済的理由は除くということですので、これらの理由による長期欠席も「不登校」としてはカウントされないことになります。これらをふまえた上で、「不登校」の現状を見てみましょう。

 不登校に関する統計は、平成27年度までは「学校基本調査」、平成28年度からは「児童生徒の問題行動等生徒指導上 の諸問題に関する調査」で発表されています。

  平成28年度に発表された『平成27年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果(速報値)について』によると、小中学校を合わせた不登校児童数は125,991人、全体の児童生徒に対する割合では1.26%にのぼります。その内訳は、小学生が27,583人で小学生全体の0.42%、中学生が98,408人で中学生全体の2.83%となっています。合計数は、平成13年度に138,822人のピークを付けてから増減を繰り返し、依然として高い水準で推移しています。

(『平成27年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」の確定値の公表について』 より)
  また、同調査によると、高校生については49,563人で全体の1.5%となっており、小中高を合計すると17万人を超える不登校生徒児童がいることになります。


2.不登校に対する考え方・捉え方

  ここまで不登校の現状について見てきました。では、私たちは実際に不登校についてどのような考えを持てば良いのでしょうか。
  平成15年に出された文部科学省初等中等教育局長通知「不登校への対応の在り方について」では、
『不登校については,特定の子どもに特有の問題があることによって起こることではなく,どの子どもにも起こりうることとしてとらえ,関係者は,当事者への理解を深める必要があること。』
と述べています。
  平成28年にまとめられた、不登校に関する調査研究協力者会議による「不登校児童生徒への支援に関する最終報告」では、上記の認識を踏まえた上で、
『不登校とは、多様な要因・背景により、結果として不登校状態になっているということであり、その行為を「問題行動」と判断してはいけない。不登校の児童生徒が悪いという根強い偏見を払拭し、「行きたくても行けない」現状に苦しむ児童生徒とその家族に対して、「なぜ行けなくなったのか」といった原因や「どうしたら行けるか」といった方法のみを論ずるだけではなく、学校・家庭・社会が不登校児童生徒に寄り添い共感的理解と受容の姿勢を持つことが、児童生徒の自己肯定感を高めるためにも重要である。不登校児童生徒にとっても、支援してくれる周りの大人との信頼関係を構築していく過程が社会性や人間性の伸長につながり、結果として、社会的自立につながることが期待される。』
と述べ、より不登校当事者の立場に立った支援の必要性を強調しています。「学校に行く・行かせる」ということは、もちろん重要なことではありますが、そこにこだわり過ぎず当事者が将来的に自立していくために本当に必要な支援は何なのか、ということを考えなければならないと言えるのではないでしょうか。


3.ご家庭でできること

  ご家庭においては、次の3点を意識して本人と接してみてください。

1.じっくりと向き合う
2.現状を認める
3.無理に抱え込まずに相談する

  不登校は子どもと子どもを取り巻く環境とが複雑に絡みあった結果として生じる状態ですので、それを解きほぐすためにはある程度の時間を要します。どのくらい時間がかかるかは、子どもの状態だけでなく保護者の意識によっても大きく変わります。
  また、不登校の子どもたちは、学校に行かないことが好ましくないことは十分にわかっています。その上で、他にどうすることもできず不登校になっているケースがあります。まじめな子ほど自分で自分を責める傾向にあり、そこで上乗せするように保護者が不登校を責めてしまうと、学校からも家庭からも追い詰められて、ひきこもることしかできなくなってしまいます。
  ご家庭によっては、不登校だけでなく介護やほかの子の育児など別の課題を同時に抱え、大変な思いをされている方もいらっしゃるかもしれません。不登校・ひきこもりの問題に限った話ではないのですが、介護や育児あるいは仕事など家庭における問題はプライベートな側面が強いため、その家庭だけで抱え込んでしまい、苦しいまま社会から孤立していくケースが見受けられます。それらについて抱え込まずに相談し、今の気持ちや状況を表に出すことができれば、心に余裕が生まれることもありますし、具体的なアドバイスを受けられることもあります。どこに相談すればよいか分からない場合は、鈴蘭学園でも構いませんのでご相談ください。不登校・ひきこもり以外の相談にも応じますし、制度の利用など専門性が必要な内容であれば市役所の窓口などの専門機関につなげます。